【ローソン】盛りすぎチャレンジは誰が得するのか?

企業ネタ

今回は、「ローソン盛りすぎチャレンジで誰が得をするのか?」をテーマに書いていきます。

ローソンでは価格はそのままに、重量を47%増量するキャンペーンが全国のローソンで行われ、「盛りすぎチャレンジ」として2023年2月6日~27日の3週間にかけて行われました。

出典:ローソン研究所

このキャンペーンはかなりの大好評となり、棚から該当の商品が消え、チャレンジ期間中は増量商品の争奪戦となりました。

かねかね
かねかね

私もいろんなローソンを回って何とか手に入れたって感じでした。ロールケーキは最後まで手に入らず。。

Twitterでも、「全然、買えない」「ガトーショコラ品切れ中」「どこのローソンに行っても売り切れている」など売り切れの報告が相次ぎ、ローソンの公式Twitterが謝罪ツイートを投稿するほどの事態となっていました。

このキャンペーンで人気商品であったロールケーキは47%増量どころの騒ぎではない様子でした。通常サイズのものと実際の重量を計測した方の報告では、2倍以上あったとのことでした。

出典:ローソン研究所

プレミアムロールケーキのカロリーに関しては、通常時のものが219カロリーであったのに対して、盛りすぎチャレンジでは418カロリーもありました。(2倍弱増加)

他のコンビニチェーンでは、値段は据え置きでも容器の底を以って容量を大きく見せるような、ステルス値上げが話題にあがる中、ローソンが行った実質的には値下げとなる盛りすぎチャレンジですが、こういった赤字覚悟のキャンペーンを行って、実際に儲かるのか?短期的な儲け以外にどんなメリットがあってこういったことを行ったのか?等のローソンの戦略について解説されていて面白かったので、共有させていただきます。

以下のポイントを順に見ていきます。

  1. 盛りすぎキャンペーン効果の推定
  2. 盛りすぎチャレンジの真の狙い
  3. バズった大きな要因

それではさっそく参りましょう。

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盛りすぎチャレンジの効果はあったのか?

まず見ていきたいのが、盛りすぎチャレンジの効果はあったのか?についてです。

今回のキャンペーンで気になるのが、盛りすぎチャレンジを展開するにあたってのコスト増です。原材料価格が上がる上で商品の使用も変わるので生産工程の切り替えや容器やパッケージの変更が発生します。

コンビニ商品の原価はこのような構造になっているとのこと↓

販売価格は、原価(商品の仕入れ値)と粗利(販売価格-仕入れ値)に分けられます。

通常、コンビニ商品(惣菜類)の原価は6~7割とされています。なので残りの粗利3~4割となります。そのうち本部に支払うロイヤリティもあります。これが粗利の5~7割ほどとされています。

ロイヤリティを引いた残りがお店の利益になるわけですが、お店の利益から従業員やアルバイトの人件費が支払われ、残りがコンビニオーナーの営業利益となります。

先ほど紹介したロールケーキの場合で見てみましょう(税抜)

ロールケーキ        155円

原価(7割)108円+47%増=158円

ロールケーキの販売価格155円の場合、原価(7割)108円+47%増=158円と、原価が販売価格を上回ってしまっています。いわゆる原価割れの状態です。

よって盛りすぎチャレンジの商品は、売れば売るほど赤字ということになります。(実際は47%より大幅に増量していたことを考えると赤字額はとても大きかったと推測されます)

さらにちなみにコンビニの1日に残る営業利益は3~4万円くらいとされています。1日に数百万円売り上げる店舗もあったりしますが、総じて言えるのはコンビニ経営は大変ということです。

このキャンペーン期間中に「売れるのが分かっているのなら商品を補充しろよ」とか「どうせ品薄商法でしょ」との声が散見されましたが、このような背景を知るとそんなことも言えなくなるかと思います。

むしろ買えた人はすごくラッキーだったし、赤字でもキャンペーンをやったことに感謝の気持ちが湧いてくるのではないでしょうか。

一方で、盛りすぎチャレンジを目的に来店を促して、ついでにほかの商品も一緒に買ってもらうという作戦なのでは?という仮説もたちます。

かねかね
かねかね

私もこの考えでした。一緒買いする人が結構いて、そこで利益を確保してるのかななんて。

ということで、盛りすぎチャレンジによって実際に儲かったのか?について検証していくのですが、具体的な結果は存在していないので、今現在の効果を推定していきます。

昨年の8月にはファミリーマートで「お値段そのまま!!40%増量キャンペーン」を行っていました。期間は2022年8月2日~22日でローソンと同様の3週間、お惣菜やおむすびなどの商品が、増量商品として販売されていました。

ローソンのキャンペーンとかなり似ているというよりか、ローソンのキャンペーンはこのファミリーマートのキャンペーンの後追いであろうと考えられるので、このファミリーマートのキャンペーン時の効果を参考にしていきます。

出典:IDレシートBIツール分析レポート

カウンターフード(ホットスナック系)は、通常時と比べて300~600%の伸び率となっています。

出典:IDレシートBIツール分析レポート

サンドイッチとおにぎりに関しては、200~600%の伸びが確認されました。

ただし、購買数は増えてはいますが、対象商品だけが売れてもほぼ確実に赤字であり、他の商品もついで買いしてもらわないと利益は出ません。

そこで、ファミリーマート「40%増量商品」購入者と非購入者の、1回の買い物での購入単価はどれくらい異なるのかというのを、レシート単価で比較すると、なんと1回あたりの購入単価は下がっていたのです。

出典:IDレシートBIツール分析レポート

つまり、対象商品を買った人は他の商品もついでに一緒に買って客単価を上げているとは言えないということになります。

この現象を考察する上で、今回の40%増量商品購入者は他にどんなお店で買い物をするのか?というデータを見てみます。

出典:IDレシートBIツール分析レポート

こちらのグラフは、ファミリーマート利用者の平均と、40%増量商品購入者の平均をそれぞれ表したものです。

マクドナルドやすき家、回転ずしチェーンなどは、利用率に2倍の差が見られました。

40%増量キャンペーンに参加した人たちは、低単価なものをガッツリ食べたい人が利用していた傾向があると推定されます。

つまり、リーズナブルなものが好きな層が増量商品を買っていたが、他の商品もついで買いして一緒に籠に入れて多く購入する人は少ないと考察できるのです。

つまりつまり、キャンペーン期間中は売上は増えても利益は増えていないと推測できます。

この結果から言えることは、ローソンも短期的にはほぼ確実に儲かっていないはずだと考えられます。それでもなぜローソンは47%盛りすぎチャレンジを行ったのか?についてみていきたいと思います。

盛りすぎチャレンジの真の狙い

ということで続いては、盛りすぎチャレンジの真の狙いについてみていきます。今回のキャンペーンでは短期的な売り上げや利益ではなく、市場シェアを狙った可能性が高いと推測されていました。

出典:ローソン「統合報告書2022」

大手コンビニ3社の市場シェアを見ると、1位セブンイレブン2位ファミリーマート3位ローソンの上位3社で87%のシェアを誇っています。この市場シェアはとても大事な指標であり、市場シェアが高い企業や商品は選ばれる確率が高くなる傾向にあります。

かねかね
かねかね

どこかコンビニに寄りたいなと思った時に、頭の中にパッと最初に浮かんだところに行きやすい現象のこと。市場シェアを取っていると多くの人の第一候補になりやすく、多く来店してもらえることに繋がる!

今回のキャンペーンによるローソンの市場シェアの変化は現時点ではまだわかりませんが、ローソンの戦略としては市場シェアの回復という意味合いが強いのではないかと考察されていました。

仮に市場シェアが1ポイントでも増加すれば年間でも数百億円の売上増が見込めることとなり、キャンペーンによるコスト増分はペイできると考え踏み切ったのではないかとの推測ができるのです。

盛りすぎチャレンジがバズった理由

続いては、盛りすぎチャレンジがバズった要因についてみていきます。

今回のローソンの盛りすぎキャンペーンは、ファミリーマートの先行事例をかなり分析し研究したうえで実施しているのではないかとのことでした。

このキャンペーンについてローソンが受けた取材では、担当者がこのように話していたとのことです。

「対象商品の選定をする際に人気商品であることはもちろん、見た目のインパクトも重視した。ローソンの代表的スイーツ「プレミアムロールケーキ」に対してはホイップクリームを増量。通常の商品ではロールケーキの中心部にクリームを入れているが、増量版の「盛りすぎ!プレミアムロールケーキ」ではクリームをロールケーキ全体で覆うように乗せ見た目の印象をガラリと変えた。」

出典:ITmediaビジネスONLiNE

見るからに違いが分かる。。(画質が荒いのは失礼)

さらに担当者はこのように述べていました。

一目で増量したと分かるものでなければならない。インパクトを重視した。「盛りすぎ!焼きそばパン」では麺の増量やパンのサイズを大きくすることで増量感を演出した。

出典:ITmediaビジネスONLiNE

ロールケーキや焼きそばパン以外の商品も明らかにいつもと様子がおかしいぞ?と思える見た目になっていまいした。

ファミリーマートの増量キャンペーンと比較すると、ファミリーマートの方はローソンのような変化量が分かりづらい印象です。

増量しているお得感というのは、増量後の商品だけを見た瞬間に分からないといけません。なので適当に大きくすればいいというものではありません。

人の感覚はかなりいい加減で、何か比較の対象になるものさしがあるから「なんかいつもと違うな」と分かるのです。例えば盛りすぎプレミアムロールケーキは生地の部分はほとんどそのままでクリームが溢れていることで増量感を演出していました。ドラえもんのビックライトで照らしたように生地ごとそのまま大きくしても差が分かりづらいのです。

人は何かと比較しないと違いが分からない。

ローソンは見せ方をうまく工夫し、インパクトあるキャンペーンをやってのけたのです。

キャンペーン後の業績(株価)を見てみた

最後にちょっと脱線しますが、キャンペーン後のローソンの業績というか株価の方を見て終わりたいと思います。

ローソン 2651

出典:株探

キャンペーンの効果だけとは一概に言えませんが、明らかに今年に入ってから株価が伸びていることが分かりました。市場シェアが少し増えるだけで売上は大幅に拡大するので、効果はあったと言えるのかもしれません。

今後のローソンに期待が持てそうです。

まとめ

今回は、ローソン盛りすぎチャレンジについての記事を書いてきました。

最後までお読みいただきありがとうございました。

消費者側に特になるキャンペーンの背景には企業側の何かしらの戦略があるのは間違いないですが、今回のローソンのキャンペーンの戦略として、短期的な売上増ではなくシェアの拡大にフォーカスを当てているのではという考えは面白いなと思いました。

確かに個人的にですが、このキャンペーン以降ローソンに足を運ぶ機会が多くなった気がしています。ローソン側の思う壺にハマっております。(個人的に最近のローソンのスイーツのレベルが高くて気に入っている)

参考にさせていただいた動画↓

謎解き統計学|サトマイ

でかロールケーキ食べてぇ。

ではまた。

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