新年になると、毎年のように同じ光景が繰り返される。誰しもが「新年の抱負」を掲げ「今年こそは変わるぞ!」そう意気込んでスタートしたことがあると思います。
一方で、1月が終わるころにはその熱のほとんどが消えてしまっているのではないでしょうか。始めたはずの習慣は続かず、目標は曖昧になり、最後に残るのは「やっぱり自分は意志が弱いからダメなんだ」という自己評価。
物事を継続するには”仕組み化”と”自分の意志”が大事だとよく言われます。私自身もこれには賛同していました。
しかし最近見たあるYouTubeの動画では、この考え方そのものを根底から疑わせてくれる内容になっていました。今回はその動画の内容を紹介しながら、なぜ人は変わろうとしても変われないのか、そして本当に変わるときに何が起きているのかについて整理していきます。
92%の人が新年の抱負に失敗するという現実

まずは数字の話から説明していきます。
アメリカの大学による有名な調査では、新年に立てた目標を年末まで維持・達成できた人は全体のわずか8%だと言われています。
つまり、92%の人は途中で挫折するということになります。
あるフィットネスクラブの調査でも似たような結果が出ていると言います。入会後1週間で約25%が脱落し、1カ月以内に30~40%がやめてしまうとのことです。
ここまで再現性が高く失敗が起きているにもかかわらず、私たちは失敗すると個人の問題にしてしまいがちです。
「根性が足りない」
「計画が甘かった」
「自分は続かない人間だ」
しかし、これほど多くの人が同じように失敗するなら、それは個人の欠陥ではなく、構造の問題だと考えるほうが自然です。
「今年こそは」と思わせる正体
なぜ私たちは、新年になると急にやる気が湧くのでしょうか。
動画では、これを行動経済学の用語で”フレッシュスタート効果”と説明していました。
新年、週の始まり、誕生日といった「時間の区切り」は、過去の失敗を一度リセットし新しい自分として再出発できるような錯覚を与えます。
このときモチベーションは確かに高まります。ただし、それは一時的な着火剤にすぎません。
問題は、多くの人がこの一瞬の高揚感を「これでいける」と勘違いしてしまう点にあるのです。
環境や仕組みを変えても続かない理由
やる気が高まったとき、人はよくこう考えます。
- ジムに入会しよう
- 勉強用の机を整えよう
- アプリで習慣管理をしよう
これらは決して悪いことでも間違いでもありません。しかしそれらを考えるだけでは多くの場合、長続きはしません。
そして挫折してしまったときに、「環境を整えたのに続かなかったのは自分がダメだからだ」という結論に行きついてしまいます。
しかし動画では、ここに大きな見落としがあると指摘していました。
人が本当に変わるときに起きていること

ここでとても重要な問いが出てきます。本記事で一番重要なポイントです。
人は、人生のどんな場面で本当に変われたのか。
思い返してみれば、多くの人が一度くらいは「大きく行動を変えた経験」を持っているのではないでしょうか。
- ブラック企業から転職した
- 長年付き合っていた相手と別れた
- 本気でダイエットに成功した
これらは、新年の抱負よりもはるかに強い行動変化を伴っています。
なぜこれらは成功したのでしょうか?
「意志が強かったから?」
「誰かに強制されたから?」
動画内で示していた答えは、もっと根源的なものでした。
「ここにいる自分はふさわしくない」という感覚
人が本当に変わるとき共通して起きているのは、強烈な違和感だと言います。
例えば、好きな人ができて本気で痩せたケースを考えてみます。
このとき頭の中では、「素敵な人と並んでいる自分」という未来のアイデンティティが先にセットされます。すると鏡に映る今の自分に対して、「おかしい」「この状態の自分はふさわしくない」という感覚が生まれます。
これは認知的不協和と呼ばれる状態で、これまで快適だった現状が、一気に不快なものに変わります。
人は「こうなりたい」というプラスの感情よりも、「ここにいたくない」「これは自分じゃない」という居心地の悪さによって、大きく動かされるのです。
習慣が続かない本当の原因は「アイデンティティ」
新年の抱負の話に戻しましょう。
多くの人は、「何をやるか」「どうやるか」というHow toから入ります。
しかし動画で一貫して伝えていたのは、人はToDoリストでは動かないということです。
人は、自分が「どういう人間だと思っているか」「どういう人間でありたいか」というアイデンティティに沿って行動します。
この自己定義があいまいなままでは、どんなに立派な目標でも続きません。
本来の自分を思い出す2つのヒント
動画では、アイデンティティを思い出すためのヒントが2つ紹介されていました。
①過去に強い違和感を覚えた経験を振り返る
「ここにずっといる未来が想像できない」「この扱いは自分らしくない」
こうした感情は理屈よりも先に反応しています。そこには、あなたが大切にしたい価値観のヒントが詰まっています。
「何をしたいかわからない」人ほど、「どこにいたくなかったか」から考えるほうが答えに近づきやすいです。
②感情のログを取る(ジャーナリング)
日々の中で、モヤっとした瞬間や満たされた瞬間を記録していくと、自分のパターンが見えてきます。
アイデンティティは頭で作るものというより、行動と感情の積み重ねから浮かび上がってくるものです。
先に作るべきは「数値目標」ではない
多くの人がやりがちなのが、いきなり「毎日〇分」「月に〇回」といった数値目標を立てることです。
しかし先に作るべきなのは「私はどういう人間でありたいか」という定義です。
例えば「英語を話せるようになりたい」ではなく、「学び続け自分を更新し続ける人でいたい」
この自己定義と行動が一致したときに、習慣は「頑張るもの」ではなく「事前な行動」に変わります。
投資にもそのまま当てはまる話
この話は、投資にも当てはめて考えられます。
感情に流されないようにしよう、ルールを守ろう、長期目線でいよう。
そう決めていても自己定義があいまいだと簡単にブレてしまいます。
「自分はどういう投資家でありたいのか」が定まっていないと、相場のノイズに振り回され続けてしまいます。
行動が安定するのは、テクニックよりも先に自分が何者なのかが決まったときです。
なぜ新年の抱負は失敗するのか
新年の抱負が失敗するのは、意志が弱いからでも計画が甘いからでもありません。
どんな人として生きたいのかという自己定義が曖昧なままだからです。
そして結果が出ないと、また自分を責めてしまう。このループを断ち切るにはやることを増やす必要はありません。
もし今年、1つだけやるとしたら

もし今年、1つだけやるとしたら、新しい習慣を増やすことではなく、
- 自分は何者としていきたいのか
- 何を不快だと感じる人間なのか
- 何を大切にしたいのか
この言葉を時間をかけて固めることでしょう。アイデンティティが明確になれば、行動は必ず後からついてきます。
おわりに
最後までお読みいただきありがとうございました。今回は、新年の抱負が失敗する理由についての動画をもとに記事を作成しました。今回紹介した動画は「頑張れない人を責める動画」ではなく、「構造を理解して、現実的に変わるための動画」です。
気になった人は、ぜひ一度見てほしいです。
習慣化の話には、よく「仕組み化」や「自分の意志」が出てきがちですが、今回の動画の内容である「ここにいる自分はふさわしくない」という感覚が習慣化を加速させ実現まで導くという話は、新しい視点かつとても現実味を帯びていて興味深かったので紹介してみました。
確かに、何かを変えようと本気で思っているときというのは、プラスの感情の時よりもマイナスの感情である居心地の悪さによってだなと改めて思いました。
私は3年ほど前に転職をしています。転職には大きく2種類、キャリアアップでの転職と環境を変えたい(悪く言えば逃げ)転職があると思いますが、私は後者でした。
当時の自分が強烈に感じた「ここにいたくない」「これは自分じゃない」という居心地の悪さが、転職という大きな決断を動かしたなと感じています。
逆に言えば習慣化をできない根本的なところには、「現状に満足している」という背景があるのかもしれません。
「痩せたい」「読書したい」「投資してみたい」
そう口には出しているもののやっていない人の多くは、実は現状に満足をしていてそこまでの居心地の悪さを感じていないのかもしれません。なので習慣化をできないからと言って自己嫌悪になる必要はないと思いました。「ここにいる自分はふさわしくない」という感覚が芽生えた時に行動を起こせばよいのかなと思います。そのために、「自分は何者としていきたいのか、何を大切にしたいのか」ここからまずは考えていければいいのかなというところで、本記事はおしまいにしたいと思います。
何か考えるきっかけ、気づきになる記事になっていましたら幸いです。
あなたの新年の抱負、「今どうなっていますか?」
ではまた。


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