仕事が早い人と聞くと、どのような人を思い浮かべるでしょうか。
タイピングが速い人。資料を作るのが速い人。次から次へとタスクを片付けていく人。
もちろん、手を動かす速さも仕事のスピードには関係します。しかし、それだけでは説明できない差もあると思います。
パソコン操作はそれほど速くは見えないのに、なぜか仕事がたまらない人。一方で、作業自体は速く見えるのに、いつも締め切り直前になってしまう人もいます。
両者を分けているのは、作業速度よりも「判断の早さ」なのかもしれません。
今回は、宋世羅さんの動画「仕事が早い人は何が違うのか。」をきっかけに、仕事のスピードを左右するものについて考えてみます。
仕事が早い人は、手を動かすのが速い?
一つの仕事にかかる時間を考えると、目に入りやすいのは実際に作業している時間です。
文字を書く時間、数字を入力する時間、資料を整える時間。ここだけを見れば、操作に慣れた人ほど速く終わることでしょう。
しかし、仕事には画面上に現れない時間もあります。
- どこから手を付けるか迷っている時間
- どの案にするか決められない時間
- 誰かに確認するか悩んでいる時間
- もう少し直してから出そうと抱えている時間
- 返信しようと思いながら、メールを閉じている時間
仕事にかかる時間は、単純に考えると次のように分けられます。
仕事の所要時間
作業を速くするだけでなく、「止まっている時間」を減らすことが、仕事全体の早さにつながる。
タイピングを少し速くすれば、作業時間は数分短くなるかもしれません。しかし、判断を翌日に持ち越せば、それだけで仕事は半日、あるいは一日止まります。
仕事が早い人は、手を動かすのが速いというより、仕事を止めている時間が短いのです。
大きな差を生むのは「判断の早さ」
宋世羅さんは動画の中で、仕事が早い人について次のように話しています。
仕事には、小さな判断が想像以上にたくさんあります。
この仕事を先にやるのか。誰に聞くのか。今の段階で共有するのか。自分で決めて進めるのか。どこまで仕上げれば十分なのか。
一つひとつは数秒で決められそうなことでも、そのたびに立ち止まれば、仕事全体はなかなか前へ進みません。

反対に、判断が早い人は、次にとる行動がすぐ決まります。
- 今すぐ自分で進める
- 分からない部分だけ確認する
- 現時点の案を共有する
- 別の人へ依頼する
- 今はやらないと決める
正解を一瞬で見抜いているとは限りません。完璧な答えが出るまで抱えるのではなく、次の一手を早く決めているのです。

宋世羅さんは、その差について「判断の差って何百倍、何千倍と出る」とも表現しています。
これは、判断力を数値で測った倍率という意味ではないでしょう。作業そのものの速さよりも、一方がすぐ動き、もう一方が何時間も止まれば、仕事全体が進む早さには非常に大きな差がつきます。
その感覚を表した、宋世羅さんらしい言い回しだと感じました。
「確認が必要な仕事」ほど、早くボールを渡す

仕事が止まりやすい場面の一つが、誰かの確認を必要とするときです。
「上司に確認してから進めよう」
そう考えたところで安心し、実際に確認するのは数時間後。そこで返事を待ち、翌日になってから作業を再開する。確認そのものは必要でも、確認を出すまでの時間が仕事を遅らせてしまいます。
大切なのは、分からないことを無理に自分だけで決めることではありません。確認が必要だと判断したら、早い段階で相手へボールを渡すことです。
たとえば、次のような動き方ができます。
- 不明点を整理し、気づいた時点で質問を送る
- 可能なら「いつまでに回答が必要か」も添える
- 自分の案を示し、「問題があれば修正してください」と確認する
- 返事を待つ間に進められる部分は、先に進めておく
確認を先送りすると、自分の仕事だけではなく、確認する相手の予定にも左右されるようになります。忙しい相手ほど、こちらが夕方に送れば、返事は翌日以降になるかもしれません。
だからこそ、確認が必要な仕事ほど、早め早めに動かしたほうがいいのです。
優先順位は「誰が待っているか」で変わる
仕事の優先順位を考えるとき、締め切りや作業量に目が向きがちです。
しかし、もう一つ見落としたくないのが、「この仕事を誰が待っているのか」という視点です。
自分が資料を渡さなければ、次の人は作業を始められません。自分が承認しなければ、別の部署が手続きを進めることはできません。たった一通の返信を保留していることで、相手の仕事が止まっている可能性もあります。
宋世羅さんも、仕事を早く進めるときの感覚を「この人が待ってるから」と表現しています。
自分一人で完結する仕事なら、少し遅れても影響は自分の中に収まります。しかし、誰かが待っている仕事は、遅れが相手、その先の人へと広がっていきます。
締め切りが一番近いものから進めるだけではなく、次のように考えてみると、優先順位の見え方が変わってきます。
動けなくなっている人はいないか?
すぐ終わる返信や確認を先に返すだけで、相手は自分が別の作業をしている間にも仕事を進めることができます。自分の5分で、相手の数時間を動かせることもあるのです。
「お客様=好かれたほうがいい人」という考え方

この”お客様”の考え方、今回の動画で特に面白いと思ったところです。
ここで、宋世羅さんは「お客様」という言葉を、商品やサービスを購入してくれる人だけに限定していません。
会社員であれば、社外の取引先だけがお客様とは限りません。仕事を任せる上司、一緒に進める同僚、成果物を受け取る別部署の人など、信頼関係を築いたほうが仕事を進めやすい相手はたくさんいます。
「好かれたほうがいい」と聞くと、ご機嫌を取ったり、何でも相手に合わせたりする話にも聞こえます。しかし、ここで大切なのは、無理に媚びることではないと思います。
頼んだことに反応がある。難しいなら早めに伝えてくれる。いつ返ってくるのか分かる。相手の仕事を止めないように動いてくれる。
こうした小さな行動が、「この人には安心して仕事を頼める」という信頼につながります。
相手を待たせないことは、単なる時短術ではありません。相手の時間を大切に扱うことでもあるのです。
すぐに「完成品」を返さなくてもいい
仕事を早くしようとすると、「依頼されたら、すぐ完成させなければならない」と考えてしまうかもしれません。
しかし、相手を待たせないことと、その場ですべてを終わらせることは別です。
すぐに完成できない場面でも、まずは次のように返せます。
- 依頼を受け取ったことを伝える
- いつまでに対応できるかを伝える
- 判断に必要な情報が足りなければ、その場で確認する
- 途中経過を共有するタイミングを伝える
返事がない状態では、相手は「見てもらえたのか」「いつ進むのか」が分かりません。完成まで三日かかるとしても、最初に予定が分かれば、その間に別の仕事を進めることができます。
反応の早さとは、完成品を即座に出すことではなく、仕事を受け取った後にどう動くかを早く示すことです。
仕事を早くしたいなら、「止まっている時間」を探す
仕事のスピードを上げようとして、いきなり新しいツールを導入したり、ショートカットキーを覚えたりする必要はありません。もちろんそれも役には立ちますが、その前に見直せることがあります。
今抱えている仕事について、次の5つを確認してみます。
- 決めずに先送りしていることはないか
- 自分の返事や確認を待っている人はいないか
- 誰かに聞くべきことを抱えたままにしていないか
- 完璧になるまで共有を止めていないか
- 返事を待つ間に進められる部分はないか
一日の終わりにタスクの数を見るだけでなく、「いまボールは誰の手元にあるのか」を確認するのもよさそうです。
自分が持っているなら、進める、返す、聞く、頼む、やめる。そのどれかを決めるだけでも、止まっていた仕事は再び動き始めます。
仕事の進め方をもう少し深く考えたい人へ
今回のような「仕事をどう前に進めるか」というテーマが気になった人には、次の2冊もおすすめです。
『イシューからはじめよ』は、ただ速く作業するのではなく、「そもそも何に答えを出すべきなのか」を考える一冊です。
今回の記事で触れた「判断の早さ」や「次に何をするかを決めること」ともつながる部分があり、仕事の優先順位や考え方そのものを整理したい人に向いています。
こんな人におすすめ 何から手をつけるべきか、仕事の優先順位や考え方を整理したい人
一方、『なぜ、あなたの仕事は終わらないのか』は、仕事を後回しにせず、時間の使い方をどう組み立てるかという実践寄りの一冊です。
「やるべきことは分かっているのに、なぜか仕事を抱えてしまう」「いつも締め切り直前になってしまう」という人には、こちらのほうが取り入れやすいかもしれません。
こんな人におすすめ 先送りや締め切り直前のバタバタを減らし、仕事を早めに前へ進めたい人
まとめ|仕事の早さは、判断して次へ渡す早さ
仕事が早い人と遅い人の大きな違いは、作業速度だけではありません。
どこから始めるかを決める。確認が必要ならすぐに聞く。誰かが待っているなら先に返す。完成まで時間がかかるなら、予定だけでも伝える。
こうして仕事を止める時間を減らしているから、結果として全体が早く進みます。
そして、「誰が待っているか」を考えると、仕事の早さは自分の効率だけの話ではなくなります。
早く判断し、早く返すことは、相手の時間を止めないことでもあります。その積み重ねが、「この人に頼めば安心」と思ってもらえる信頼につながっていくのでしょう。
仕事をもっと早くしたいと思ったとき、手を動かす速さを責める前に、まず一つだけ問いかけてみます。
その答えを見つけて次の一手を決めることが、仕事を早くする一番の近道なのかもしれません。
ではまた。


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