会社の仕事には気が乗らないのに、趣味のことなら何時間でも没頭してしまう。そんなことはないでしょうか。
同じように頭を使っているはずなのに、片方は時間が長く感じられて、もう片方はいつの間にか時間が過ぎている。この違いは、どこから生まれるのでしょう。
私自身、会社員という働き方はあまり得意ではないと感じています。そんな中、ある動画で紹介されていた、狩猟採集と現代の仕事を結びつける考え方が面白いと思いました。
人間は長く狩猟採集をしてきたから、現代の仕事に楽しさを感じにくいのではないか。
今回はこの仮説をきっかけに、自分が何を楽しいと感じているのか、少し考えてみたいと思います。
仕事がつまらないのは、狩猟採集時代の脳が関係している?
人間にとって、今のような働き方は当たり前なのでしょうか。
ホモ・サピエンスが登場したのは約30万年前。人類は長く狩猟や採集によって食料を得てきて、農耕や牧畜への移行が始まったのは、地域によって違いがありますが、およそ1万2,000年前からとされています。
さらに、イギリスで産業革命によって働き方が大きく変わったのは18世紀半ば以降。こうして並べると、毎日決まった時間に出勤し、組織の中で仕事をする暮らしは、人類の長い歴史の中では新しいものに見えます。
動画の仮説は、この時間差に目を向けたものでした。狩猟採集の暮らしに適応してきた人間の性質と現代の反復的な仕事の間に”ズレ”があるのではないか、という考え方です。
獲物がいそうな場所を考え、探しに行き、食べ物を持ち帰る。そんな場面を想像すると、自分の判断と行動がその結果につながっているように感じます。一方大きな組織では、自分の作業が最終的に何につながったのか見えにくいこともあります。
ただし、人間の脳の進化が狩猟採集時代で止まった、と決めつけることはできません。農業にも工夫はありますし、狩猟採集にだって地道な作業や危険はあったはずです。ここでの「狩猟採集型」「農耕型」は、仕事の特徴を捉えるための比喩として受け取ると、話を楽しみやすいと思います。
人間が楽しいと感じる仕事には共通点がある?
では、狩猟採集のどんなところが、仕事の楽しさとつながるのでしょうか。
動画の話を整理すると、中心にあるのは次の2つです。
- 自分から考えて行動を起こせること
- その行動に対する結果が、自分に返ってくること
たとえば資料を作る仕事でも、「この順番にした方が伝わりやすそうだ」と考えて変えてみて、相手の反応が分かると工夫した手応えがあります。
反対に、何のためにやっているのか分からず工夫できる余地もなく終わった後の反応もない。そんな状態では楽しさを感じにくいこともあると思います。
そう考えると、営業だから楽しいとか事務だからつまらないという職種だけの話ではなさそうです。人と話す仕事にも書類や数字を扱う仕事にも自分で考えたり結果を確かめたりする場面はあります。
仕事の名前以上にその中で自分がどう動けるのか。そこに目を向けるとこの仮説が少し身近になります。
株式投資やSNSは、現代の狩猟なのか?
もう一つ面白かったのが、「トラップメイク型」という、罠を仕掛けるような楽しさの捉え方です。
獲物を追いかけるだけでなく、どう仕掛けるかを考えてその結果を確かめる。これを現代の活動に重ねると、SNSや株式投資にも似たところがあるという話でした。
| ① 考える | ② 行動する | ③ 結果を見る | |
|---|---|---|---|
| SNS | 投稿内容を考える | 投稿する | いいね・閲覧数 |
| 株式投資 | 銘柄を分析する | 売買する | 値動き・損益 |
| ブログ | 記事を企画する | 公開する | PV・読者の反応 |
SNSは、投稿して反応を待つ楽しさがある
SNSでは、何を投稿するかやどんな言葉や写真を使うかを自分で考えます。投稿すると閲覧数やいいねなどの形で反応が返ってきます。
思ったより反応があったり力を入れたのにあまり見られなかったりする。それを踏まえて次はどうしようと考える余地もあります。
「自分で考える、投稿する、反応を見る」という流れを罠を仕掛けて結果を待つ行動に重ねてみる。もちろん同じ行為ではありませんが、たとえ話としては分かる気がしました。
株式投資は、自分の予想が当たると嬉しい
私にとって、特にしっくりきたのは株式投資の話です。
どの銘柄に注目するか、どういう展開を予想するか、どこで売買するか。自分で考えることがありその判断に対してダイレクトに結果として返ってきます。
戦略を考えている時間も楽しいですが、正直に言うと、いちばん嬉しいのは勝てたときです。しかも、たまたま利益が出たときより、自分なりに分析して予想した展開になり利益につながったときの方が嬉しい。(なかなかそんなこともありませんがだからこそ喜びは大きいと思う)
お金が増えた喜びに、自分の考えが当たったという手応えが重なる。
動画を見て、私が株式投資を楽しいと思う理由の一つを、言語化してくれているなと思いました。
もちろん利益が出たからといって分析が正しかったと証明されるわけではありません。偶然うまくいくこともあるでしょうし、考えても結果が出ず落ち込むこともあります。
面白さと利益を出し続けられるかどうかは別の話です。結果がはっきり返ってくるからこそ嬉しい一方で、その結果に振り回される面もあると思います。
このブログにも、似た面白さがある
このブログも何を書くかを自分で考えて記事を公開し、その後にPVや反応を見られるところが面白いと感じています。
自分で考えて形にしたものが外に出た後でどう受け取られるのか。会社の仕事とはまた違う手応えがあります。
株式投資もSNSもブログも、結果を完全には思い通りにできません。それでも自分で考えて試せるところに面白さを感じているのだと思います。
なぜ、自分で考えて行動することは楽しいのか?
ここまで考えると、私にとっては「自分の行動に手応えがあること」が楽しさの大きな部分を占めているように感じます。
心理学には、自分の意思で取り組める「自律性」、できるという感覚の「有能感」、人とのつながりである「関係性」を重視する、自己決定理論という考え方があります。
2026年に公表された192研究のメタ分析でも、こうした欲求が満たされることや自律的な動機づけと、仕事の満足度・意欲などとの関連が検討されています。自分で動ける感覚に注目する部分は、今回の話とも重なるように思いました。
私自身、ルールに沿って真面目に働くことは得意な方だと思っています。そして会社でも、ある程度の裁量を与えられ、自分の好きなように仕事の予定を組み立てられたときは楽しいと感じました。
会社員という形の中にも、自分で動く楽しさはあるのでしょう。安定した給料には魅力がありますし、楽しく働いている人もいると思います。
自分で考えて次の一手を決めるという点では、以前書いた「仕事が早い人は何が違う?」という記事にも通じるところがありそうです。
こちらの記事では、仕事の早さを左右する「判断」について考えています。
ただ、仕事を楽しくすることとは別に、人生の大半を週5日の会社の仕事に使うことには、今も違和感があります。大学生の頃、コロナ禍に授業やアルバイト以外の時間を自分で組み立てられた生活は、とても心地よいものでした。好きなことで稼げるなら理想ですが、現実の難しさも含めて、挑戦しながら考えていきたいと思っています。自由な時間を大切にしたいという気持ちは、今も変わりません。(個人的意見です)
人間が働きアリのように進化したら?
動画の後半ではさらに話が広がります。遠い未来、人間も働きアリのように決められた役割をこなすことに不満を感じない存在になるのだろうか、という話です。
これは根拠のある未来予測ではなく、思考実験として面白い話だと思いました。実際のアリが、人間のような意味で仕事を楽しんでいると分かっているわけでもありません。
もし、毎日同じ仕事をしていても本人には何の不満もなく、それを幸せだと感じているとしたら。その人にとっては幸福な暮らしなのかもしれません。
ただ、今の私の価値観から見ると、自分の人生を自由に選べないことには違和感がありました。いろいろな生き方を知れる今だからこそ、自分で選ぶことに惹かれるのかもしれません。
この話の中で紹介されていたのが、オルダス・ハクスリーの『すばらしい新世界』という書籍です。
出版社の紹介によると、人間が受精卵の段階から選別され、5つの階級に分けられる管理社会を描いた小説です。人間が自然に進化してそうなるという話とは、仕組みが異なります。
「本人が幸せなら、それでよいのだろうか」と考えるきっかけになりそうだなととても気になっている一冊です。
自由に選べることと幸せを感じること。その両方がそろっていてほしいと思うのは今の自分の価値観なのだろうなとも感じます。
まとめ|仕事の楽しさはどこから生まれるのだろう
仕事がつまらないのは、狩猟採集時代の脳と現代の働き方が合っていないからなのか。
本当のところは分からないし、仕事の楽しさを一つの理由だけで説明することもできないと思います。
それでも、狩猟採集から株式投資やSNSへとつなげて考える発想は、面白いものだったので記事にしてみました。自分が夢中になっていることを振り返ると、そこには自分で考えて動けることや、結果を受け取れることがあるのかもしれません。
自分は、どんなときに仕事や活動を楽しいと感じるのか。そんなことを考えるきっかけになれば嬉しいです。
仕事もお金も含めて、どう暮らしたいかという話は、「人生に意味はなくても、楽しく暮らせばいい」と考えた記事にも書いています。よかったら合わせてお読みください。
狩猟採集から進化して適応するのか、狩猟採集に合わせて生きていくのか。
ではまた。


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