「頂き女子りりちゃん」事件の真犯人は誰だ?お金と孤独が作った“カルト宗教・歌舞伎町”の構造

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雑記

2023年に世間を騒がせた「頂き女子りりちゃん」事件。当時25歳だった女性が、複数の男性から総額1憶5,000万円を騙し取り、その手法をマニュアル化して拡大させたというニュースは、多くの人々に衝撃を与えました。

一見、「若い女性が年上男性を騙した」という表面的な構図から、世間は彼女を「悪女」として断罪し、事件は単純な詐欺事件として片づけられがちです。しかし、この事件を深く掘り下げた著書があり、そちらの内容を見てみると、「この事態は決して単純なものではないのでは?」と考えることになります。

今回はその著書を紹介した動画『「頂き女子りりちゃん」事件、本当の悪者は?』をもとに、記事を書いていきます。

参考動画:積読チャンネル

この著書の内容を読み進めるにつれて「誰が悪者か」という構図が二転三転としていきます。加害者と思われたりりちゃんに同情が集まり、被害者と思われた男性にも世間からの非難が集中し、そして最終的にその背景に潜む”歌舞伎町”という特殊な社会構造が浮かび上がってくるというのです。

本記事では、この事件の裏に潜む「孤独」「家庭の崩壊」「異様な価値観」という社会の構造的な問題を、様々な視点から深堀していきます。

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頂き女子りりちゃんを生んだ家庭と社会

りりちゃんが金銭を騙し取るに至った背景には、彼女の壮絶な幼少期の経験が深くかかわっています。

彼女は幼少期から日常的に父親に暴力を振るわれ、包丁を持ち出されるような生活を送っていたといいます。そして中学2年生の時、「本当に殺される」と思い警察を呼んだものの、警察は助けてくれなかったという経緯があります。

この体験が、彼女の中に「世界は私を助けてくれない」という根源的な不信感と絶望感を植え付けました。彼女の目には、社会は自分を守ってくれないどころか、暴力を振るう「年上男性(父親)」の論理がまかり通る場所として映ったのかもしれません。

彼女が”りりちゃん”として年上の男性(おじ)からお金を奪った行為は、単なる金銭欲からではなく、その不信感を抱くに至った「虐待され続けた父親への復讐」という、歪んではいるものの、そういったロジックによって支えられていました。

彼女にとって、

おじからお金を取ること=「私がしてあげたことの対価だからもらって当然」

であり、彼らが持つ金銭を奪うことは、自分たち若い女性を食い物にする男たちへの「反撃」だったのです。

実際、彼女の行為は一部の若い女性たちから「重すぎる量刑に疑問を呈する」声や、「男たちに復讐したのだ」という共感を呼びました。

彼女の行動の根源には、個人の犯罪であると同時に、社会への怒りが込められていたとも捉えることができます。

孤独が吸い上げるお金のシステム

取材を進めていくと、「復讐を遂げた加害者」から「被害者」へと焦点を移すことで、この構図を再び反転させます。

著者が、りりちゃんに騙し取られた被害者の一人、”常松洋一氏”に会いに行ったとき、著者が抱いていた「若い女性を欲しいままにする強欲で醜悪なおじさん」というイメージは打ち砕かれます。常松洋一氏は、両親や弟を早くに亡くし、視力のコンプレックスを抱える孤独で心優しい人物だったのです。

りりちゃんはそんな彼に対し、「私が免許を取って車も買う。洋一君の目になるよ。私があなたの目になる」という、未来への希望を与える言葉を投げかけます。

彼がお金を渡した行為は、単に「貢いだ」のではなく「助けてあげたらこの子との幸せな未来が待っている」という希望も含んでいたのです。

かねかね
かねかね

なんとも切ないな。。

この事件の根源には、現代社会の抱える深刻な問題が潜んでいます。お金や生活は生活保護などの社会保障でセーフティネットが張られても、「寂しさ」は保証されません。特に孤独を抱える人々は、その孤独を埋めてくれる関係性に対して、無限に金銭を払ってしまう。りりちゃん自身も、だまし取った1億5,000万円のほとんどをホストへの貢ぎ物に費やしており、彼女もまた「孤独」に囚われた被害者の一人だったと言えるでしょう。(かと言って詐欺をすること自体が悪なのには変わりないが)

この事件は、お金や愛ではなく、「孤独」が現代人を吸い上げる一つのビジネスシステムとして機能している、という構造を浮き彫りにしました。

異常が正常になる場「歌舞伎町」

取材の終盤で、著者は「結局、本当に悪いのは誰なのか?」という問いに対し、「悪者は歌舞伎町というカルト宗教ではないか」という結論に至ります。

歌舞伎町界隈には、一般社会の規範から大きく逸脱した独自の価値観が存在しています。そこで「ホス狂い」は、単なるネガティブな言葉ではなく、学校にも家庭にも居場所がなく、アイデンティティを持たない若者にとって「立派なアイデンティティ」として機能していました。

歌舞伎町で「ホス狂い」は誉め言葉。(異常が正常になっている)

さらに恐ろしいのは、そのアイデンティティが「借金」によって強固に維持されていたことです。ホストクラブの「売り掛け」(ツケ払い)制度が厳しく規制される動きが出た際、当事者の女性からは「売り掛けがなくなったら毎日頑張る理由がない」という声が上がったと言います。借金という枷が、彼女たちに「生きる意味」を与えていたのです。

この「異常こそが正常」な世界では、価値観が完全に反転します。

  • 社会通念:「恋愛感情に付け込んで金銭を奪うこと」は詐欺。
  • 歌舞伎町:「大金を取って人に美しい夢を見せること」は美徳。

りりちゃんは実際に、「詐欺が悪いことだと思わなかった。ホス狂いのようにかっこいい言葉だと思っていた」と語っています。彼女の心の中では、日本の法規範とは完全に真逆の価値観が根付いていたのです。国境がないにもかかわらず、全く異なる文化圏(価値観)が同一の社会に存在してしまったこと。これが、今回の悲劇の真の原因であったと言えるかもしれません。

かねかね
かねかね

詐欺がかっこいい言葉だと思っていただなんて。。

次の「りりちゃん」をどう救うか

最後までお読みいただきありがとうございました。今回は頂き女子りりちゃんについて深堀りした著書、を紹介した動画をもとに記事を書いてきました。

この事件を受け、ホストクラブに対する規制強化が急速に進んでいます。客の恋愛感情を利用した過度な金銭の要求は取り締まられ、歌舞伎町の「異様な価値観」は是正される方向に向かっています。

これは社会の健全化という点では「良いこと」でしょう。しかし、ここで立ち止まって考えなければならないのは、この異文化圏がなくなったとき、そこでしか居場所を見つけられなかった「次のりりちゃん」をどうするか、という問いです。

彼女たちにとって、歌舞伎町は歪んでいたとしても、唯一「居場所」と「生きる意味」を与えてくれるコミュニティでした。その救いが消えた時、彼女たちが向かう先はどこになるのでしょうか。

この事件は、りりちゃん個人の犯罪という枠を超え、家庭環境の崩壊、社会の孤独、そして零れ落ちた人々にアイデンティティを与える場所がないという、社会の構造的な欠陥を突き付けています。

「頂き女子」の悲劇を防ぐためには、法規制による取り締まりだけでなく、孤独を抱える人々を資本主義の餌食にしない、より包括的なセーフティネットと、安心できる居場所を提供できる社会構造の構築が必要とされているのではないでしょうか。

この事件は、お金と孤独の複雑な構造を理解し、我々一人ひとりがどう社会と向き合うべきかを問いかける、重いテーマを投げかけているのです。

→とはいうものの、具体的にどうしていったらいいかの答えは著書でも明確に断定されているわけではありませんし、一つの答えがあるわけではないと思います。

実際、詐欺自体を取り締まる必要はあるし、歌舞伎町の異様な価値観を国全体で見た時に取り締まる必要はあることでしょう。これは自論なので思うところは人それぞれですが、詐欺は加害者が加害者なのには変わりませんが、言い方は難しいですが被害者にも少しは非があるのではないかなと思います。

騙すほうが悪いのには間違いありませんが、騙されるほうにが全く悪くないか、問題がなかったのかと問われるとそうでもない場合があると思います。自分のことは社会も守ってくれる部分はありますが、最終的には自分で守る必要があります。騙されたときに他責にしたくなってしまう気持ちは重々わかります。ちょっと話は違いますが先日私もクレジットカードを不正利用されたとき、存在がわからない不正利用した奴やクレジットカード会社に対して「ひどいな、こわいな、私は被害者だ」そんな感情を抱きました。しかし被害にあってしまったのには、自分の個人情報の管理の甘さもあったと思います。気を付けていても防げないものもあるでしょう。けれど詐欺にあわないように注意しているかしていないかで、詐欺被害にあうリスクを減らせる可能性は十分にあると考えています。

今回の頂き女子事件から、搾取する側になってはいけないのはもちろんのこと、搾取される側にならないためにどうするべきか、その社会を作っていくために一人一人ができることは何なのか、考えるきっかけになればと思います。

事件から学べることは必ずある。繰り返さぬよう。

ではまた。

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